立秋を過ぎたとはいえ、まだまだ暑さ満点の9月3日、尼崎市は塚口のピッコロシアター小ホールで、第89回スクールコンサートが開催されました。今回は初の試みとなる他校とのコラボレーション企画。同じ武庫之荘にある「田中準子音楽院」(以下J.T.音楽院)とのジョイント発表会です。

タカラジェンヌを目指す「スター候補生」も多く通うJ.T.音楽院、学生さんをはじめ、善男善女のステージの後、いよいよアローミュージックスクールのコーナーです。バックを務めるのは当校講師の澤雅一(Dr)、宮野友巴(B)、泉かずしげ(Sx)、J.T.音楽院から松尾りな(Pf)という布陣です。

先陣を切るのは、気の合った仲間との「ジャズを楽しく聴く会」を主催されるⅠさん。「Moritat」「Mack The Knife」の2曲をアルトサックスで熱演。途中で独自の音楽世界に突入するも、バックの三人がすかさず寄り添い、抜群の安定感で無事?に着地!大きな拍手を受けておられました。いい演奏でしたよ!(担当講師 泉かずしげ)

「Candy」「Through The Fire」の二曲を披露してくれたのはヴォーカルコースのKさんです。原曲はシンセサイザーやビッグバンドを駆使した大掛かりなアレンジですが、それとはひと味違う、ピアノトリオによる落ち着いたサウンドの中、しっとりと歌いあげてくれました。名曲の新しい一面を見た思いです。(担当講師 片山優美)

アルトサックスで「All Of Me」「Stardust」という大ヒットチューンを吹き切ってくれたのはMさんです。レッスンでは毎回何らかの課題を自らに課すという真面目ぶり。その甲斐あって苦手な指遣いも以前に較べて出来るようになってきたとか。名演は一夜にして成らず。誠実さがにじみ出る好演でした。(担当講師 泉かずしげ)

続くTさんはフルートでの参加です。この発表会では唯一の「純クラシック」選曲で、M・ラヴェル「クープランの墓」より迫力のある「Rigaudon」、もう一曲はガラリと趣向を変えてジャズのナンバーから「Someone To Watch Over Me」。所属する吹奏楽団で鍛えられた音色が冴えわたります。お客さんから「心洗われました」との声も!(担当講師 角家道子)

一部のトリを飾ってくれるのはNさんです。テナーサックスではボサノバの名曲「Desafinado」を。続く2曲目では、ナント懐かしい「アリス」の「BURAI」を歌ってくださいました。歌ですよ、歌。サックスの生徒さんですが、この発表会のためにボイストレーニングも受けるという熱の入れようです。客席からは「まさかここでアリスが聴けるとは」という声も。(担当講師 泉かずしげ)

暫く休憩の後、再開です。第二部もバラエティに富んでますよ!

今回唯一のドラムでの参加はMさんです。B・ジョエル「Honesty」とS・ワンダー「Sir, Duke」。澤先生からのアドバイスは「思いっきりやったらええねん」だったそうです。そうは言われてもフツーなかなか本番では出来ないものですが、この方は本当に思いっきりやってくれました!リハーサルも良かったですが、それを上回るパフォーマンス!応援に駆けつけてくれた皆さんからもヤンヤの喝采でした!カッコイイ~~!(担当講師 澤雅一)

元タカラジェンヌであり、J.T.音楽院の先生も務めておられる、鳴海じゅんさんをスペシャルゲストに迎えて、素敵なデュエットを聴かせてくれたのはKさんです。曲は大切な人との別れを歌う「旅立つ日」、そしてタカラヅカ不滅の名曲「ベルサイユのばら」より「愛あればこそ」。この共演のために鳴海さんに振付けのレッスンまで受けての参加です。「ホンモノ」とのデュエットに客席からもため息が。夢の世界へ誘われたひと時でした。(担当講師 鳴海じゅん 泉かずしげ)

アロージャズオーケストラの現リーダー、河田健さんのライヴで聴いた、北野タダオ「Spring Breeze」に惚れ込み、ついには譜面まで手に入れたのはTさんです。同曲では疾走感溢れるソロを、A.C.ジョビン「Corcovado」では気怠い晩夏の気分をアルトサックスで奏でてくれました。その場で作曲しながら吹く、いわゆる即興演奏です。社会人になってから楽器を始めたとはとても思えない腕前でした!

(担当講師 泉かずしげ)

人気の高いジャズスタンダード「All The Things You Are」と、ユーミンの名曲「海を見ていた午後」という組合せで歌ってくれたのはWさんです。リハーサルは不満の残る出来だったそうですが、本番は会心の出来だったのではないでしょうか?曲の良さが素直に染みてくる、実に雰囲気のある素敵なステージでした!(担当講師 升本しのぶ)

今発表会の大トリを飾ってくれるのは、自らビッグバンドも率いるDさんです。「今回、トリお願いします」と頼んでおいたので、それに相応しい曲を選んでくれるかと思いきや、マサカの「Feel Like Makin’ Love(愛のため息)」。ロバータ・フラック、マリーナ・ショウの歌唱で大ヒットしたナンバーですが、最後を締める曲ではなぁああい!・・・ような気もします。しかし続く2曲目はチック・コリアヒットチューン「SPAIN」で締めてくれました。こう並べると、むしろお互いが引き立てあって、いや、なかなか良い選曲ではありませんか。メロディを弾くだけでも難しい(に違いない)フレットレス・ベースでのシブいパフォーマンスでした。(担当講師 井手厚)

クラシックの曲もあればポップスやジャズもありと、通常のコンサートではありえないラインナップが聴けるというのは、発表会独特の楽しさかも知れません。今回ご出演の皆さんの演奏を聴いて、早速押し入れの肥しになっていた楽器を引っ張り出してきた、などのお話もお聞きしました。やはり生演奏は良いものですね。

どなたもいずれ劣らぬ名演、お疲れ様でした。そしてご来場の皆さま、ありがとうございました!

開催概要

  • 2023年9月3日(日)
  • ピッコロシアター 小ホール
  • 17:15開演

バッキングプレイヤー

  • サックス 泉 かずしげ
  • ピアノ 松尾 りな(J.T.音楽院)
  • ベース 宮野 友巴
  • ドラム 澤 雅一

内容

  • 個人の部 10名